こんにちは。
現在妊活中の主婦、maronです。
今年で30歳、今年の2月から妊活を始めました。
今回のテーマは「妊活中のお寿司」。
種類も豊富で美味しいお寿司ですが、「妊娠の可能性があるときはお寿司を控えるように」と耳にします。
実際どうなのかを解説していきます。
妊活中のお寿司で注意すること
そもそも、「妊娠の可能性があるときはお寿司を控えるように」と言われている理由は、以下のようなリスクがあるためです。
それぞれについて、詳しく解説していきます。
リステリア菌に感染するリスク
妊娠中は、一般の成人と比較して、リステリア菌による感染症が重症化するリスクが数十倍にもなると言われています。
初期症状はインフルエンザのような症状を起こすことが多く、38~39℃の発熱、頭痛、嘔吐などの症状が出ます。
流産や早産の原因となることがあり、感染すると約2割が流産・死産、新生児死亡などの結果を迎えてしまうと報告されています。
また、無事に出産できた場合にも、新生児リステリア症によって重症化してしまう可能性があります。
Listeria and Pregnancy (リステリア菌と妊娠) | ACOG
ノロウイルスに感染するリスク
ノロウイルスは、嘔吐や下痢などの症状を引き起こすウイルスです。
ノロウイルスの感染による胎児へ直接的な影響は、現時点では報告されていません。
しかし、激しい嘔吐や下痢は、子宮収縮の原因となることがあり、早産や流産などを引き起こす可能性があります。
また、食中毒の症状が原因で食事を摂れなくなったり、激しい嘔吐によって脱水症状を起こしたりすることで、胎児へ十分な栄養を届けられない可能性があります。
また、ノロウイルスは感染力が強く、感染した家族を看病していて移ってしまう可能性もあります。
そのため、家族全員で感染しないよう気を付けたいですね。
尚、ノロウイルスへの感染は、生の二枚貝を食べて起こることが多いです。
ノロウイルスを死滅させるためには、中心温度85~90°Cで90秒以上の加熱が必要なので、二枚貝を食べる際には十分に加熱処理したものを食べるようにしましょう。
アニサキスに感染するリスク
アニサキスの幼虫は、魚介類に寄生し、魚の鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動します。
これらの魚を生や不十分な冷凍または不十分な加熱の状態で食べることで、アニサキス症を発症し、激しい腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などの症状が出ます。
妊娠中にアニサキスによる食中毒を起こした場合の胎児への影響は、現時点では報告されていません。
しかし、激しい嘔吐や下痢は、子宮収縮の原因となることがあり、早産や流産などを引き起こす可能性があります。
また、食中毒の症状が原因で食事を摂れなくなったり、激しい嘔吐によって脱水症状を起こしたりすることで、胎児へ十分な栄養を届けられない可能性があります。
さらに妊娠中は服用できる薬も限られているため、発症しないための予防策を徹底することが望ましいと言えるでしょう。
尚、アニサキスを死滅させるには、60℃以上で1分以上の加熱、もしくは-20℃以下で24時間以上の冷凍が有効です。
これらを踏まえたうえで、加えて以下のことにも注意しましょう。
腸炎ビブリオに感染するリスク
腸炎ビブリオは食中毒菌の一つで、海水中に存在し、特に夏期に海水中で増殖します。
そのため、魚をよく食べる地域では気をつけたい食中毒菌です。
腸炎ビブリオの症状は、下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱です。
腸炎ビブリオによる食中毒を予防する方法としては、調理前に魚介類を水でしっかりと洗い、菌を洗い流すこと、手や調理器具をよく洗浄して二次汚染を防ぐこと、食べる前に十分に加熱することが挙げられます。
また、腸炎ビブリオの増殖は、低温にすることでも抑えられますが、凍結しても短期間では死滅しません。
そのため、冷蔵保存された魚介類を加熱しないでそのまま食べた場合、腸炎ビブリオによる食中毒を起こす可能性があります。
よって、妊娠中は抵抗力が落ちているため、生魚は食べない方が安全だと考えられます。
海水と魚の腸炎ビブリオ菌数を調査しました | たべしずねっと ~静岡市食の安全・安心ホームページ~
妊娠中に腸炎ビブリオによる食中毒を起こした場合の胎児への影響は、現時点では報告されていません。
しかし、激しい嘔吐や下痢は、子宮収縮の原因となることがあり、早産や流産などを引き起こす可能性があります。
また、食中毒の症状が原因で食事を摂れなくなったり、激しい嘔吐によって脱水症状を起こしたりすることで、胎児へ十分な栄養を届けられない可能性があります。
水銀を多く摂取してしまうリスク
水銀は、主に鉱山や工場からの排出によって水や土壌に放出されます。
水銀は食物連鎖の中で蓄積されることが知られており、特に大型の肉食魚に多く含まれることが多いです。
水銀を多く含む食材を食べると、胎盤を通して胎児の脳に到達してしまい、これが高濃度になると胎児の神経系に作用し、神経障害や発達障害を引き起こす可能性があります。
各寿司ネタのリスク評価
上記で見てきた通り、妊娠中、妊活中に魚介類を生で食べるには、それぞれの種類毎に様々なリスクがあります。
では、具体的にどのネタが安心で、また、どのネタにどういったリスクがあるのでしょうか。
以下の一覧表にまとめてみました。
各寿司ネタのリスク評価一覧
寿司ネタ | リステリア菌のリスク | ノロウイルスのリスク | アニサキスのリスク | 水銀量(μg/g) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
納豆巻き | - | - | - | - | |
たまご | - | - | - | - | |
かんぴょう巻き | - | - | - | - | |
ツナマヨ | - | - | - | - | |
加熱された肉のネタ | - | - | - | - | |
エビ(加熱) | - | - | - | 0.017 | |
タコ(加熱) | - | - | - | 0.033 | |
毛ガニ(加熱) | - | - | - | 0.028 | |
タラバガニ(加熱) | - | - | - | 0.040 | |
ズワイガニ(加熱) | - | - | - |
0.067 |
|
ウナギ | - | - | - | 0.053 | ビタミンA量に要注意 |
アナゴ | - | - | 注意 | 0.004 | ビタミンA量に注意 |
イワシ | - | - | 要注意 | 0.018 | |
サケ | - | - | 要注意 | 0.027 | |
サワラ | - | - | 注意 | 0.035 | |
アジ | - | - | 要注意 | 0.040 | |
小型のブリ | - | - | 注意 | 0.056 | |
サンマ | - | - | 要注意 | 0.058 | |
イサキ | - | - | 注意 | 0.064 | |
中型のブリ(ハマチ) | - | - | 注意 | 0.092 | |
タイ類 | - | - | 注意 | 0.093 | |
スズキ | - | - | 注意 |
0.102 |
|
サバ | - | - | 要注意 | 0.104 | |
カンパチ | - | - | 注意 | 0.121 | |
ブリ | - | - | 注意 | 0.153 | |
カツオ | - | - | 要注意 | 0.154 | |
キンメダイ | - | - | 注意 | 0.684 | |
クロマグロ(本マグロ) | - | - | 気を付ける | 0.723 | |
カジキ類 | - | - | 注意 | 1.394 | |
カキ | - | 要注意 | - | 0.004 | |
アサリ | - | 要注意 | - | 0.009 | |
ホタテ | - | 要注意 | - | 0.010 | |
ハマグリ | - | 要注意 | - | 0.018 | |
生ウニ | 要注意 | - | - | 0.002 | |
生イカ | 要注意 | - | 要注意 | 0.039 |
※:腸炎ビブリオは海水中に存在するため、海で獲れる魚介類であれば、どれでも感染のリスクはある
- 赤文字:要注意
- 黄文字:注意
- 青文字:気を付ける
もちろん妊活中は食中毒などのリスクもなく、水銀量も少ないネタを選びたい、というのが大前提ではありますが、妊活中でも「どうしてもお寿司が食べたい」というときは、上の表から、食中毒のリスク、水銀量などが、できるだけ低いネタを選んで食べるようにしましょう。
マグロの種類別リスク評価
尚、マグロについては沢山の種類がありますが、全てのマグロに多くの水銀が含まれている訳ではありません。
以下は、水銀量について、マグロの種類の中では少ないものをまとめた表になります。
マグロの種類 | 水銀量(μg/g) |
---|---|
キハダマグロ | 0.179 |
ビンチョウマグロ | 0.237 |
メジマグロ(クロマグロの幼魚) | 0.158 |
また、ツナ缶についても水銀量は少ないことが確認されています。
大阪府/妊娠している方や妊娠している可能性のある方へ「魚介類を食べるときの注意事項」
これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと_厚生労働省
炙りネタのリスク評価
「炙ってあれば、加熱しているし大丈夫」と思ってしまいがちですが、生の魚介類を炙ったネタは、中心部まで火が通っていません。
そのため、食中毒のリスクは生魚とほぼ変わらないと考えられます。
魚介類には妊活に必要な栄養が豊富
ここまで見てきた通り、妊活中は魚の種類や食べ方に注意しなければいけません。
しかしその一方で、魚介類には栄養が豊富に含まれているうえ、肉類に比べてカロリーが低いことも多く、健康的な食材であるといえます。
そのため、水銀量の少ない魚を選ぶ、加熱する等工夫して調理する等し、妊活中の食事に上手に取り入れたいですね。
ここからは、妊活中に摂りたい栄養素のうち、魚介類に含まれることが多いものを紹介していきます。
タンパク質
タンパク質は、妊活中の女性に欠かせない栄養素です。
タンパク質は、血や筋肉、ホルモンや免疫物質など、全身の大部分をつくる材料であり、不足すると全身に様々な不調が現れるだけでなく妊娠力も低下してしまいます。
また、平熱が上がって免疫力が高くなる、代謝がアップするといった効果も期待できます。
ビタミン
ビタミンDには、卵巣機能を高める、子宮内膜の状態を良くする、等の働きがあります。
ある研究では、「不妊治療をしている人の多くがビタミンD不足で、おぎなうと着床までの期間が短くなる」と報告されています。
Hum Reprod 2012 Vol. 27 Issue 10 Pages 3015-27
また、ビタミンDの1日あたりの摂取目安量は、妊娠していない18歳以上が5.5μgなのに対して、妊娠中は7.0μgに増加します。
さらに、ビタミンEは妊娠していない12歳以降の目安量が1日当たり6.0mgなのに対して、妊娠中は6.5mg、ビタミンB12は妊娠前よりも1日あたりプラス0.4μg多く摂るように推奨されています。
ミネラル
ミネラルの一つであるカルシウムも、妊活に必要な栄養素です。
妊活中にカルシウムが不足すると、卵子は受精しにくくなり、精子は運動率が劣って受精することが困難になるといわれています。
現代の日本人はカルシウムが足りていないといわれていますが、カルシウムが不足すると、赤ちゃんの発育不全や母体の骨粗鬆症などのリスクもあるので、積極的に摂りたい栄養素です。
また、ミネラルの一つ、マグネシウムは筋肉や神経のリラックスを促し、ストレスの緩和に役立ち、妊娠中は、妊娠前よりも1日あたりプラス40mg多く摂るように推奨されています。
n-3系脂肪酸
DHAやEPAなどに代表されるn-3系脂肪酸は、妊娠していない18~49歳までの摂取目安量が1日に1.6gなのに対し、妊娠中は1.8gが目安量となっています。
オメガ-3脂肪酸は、DHAとEPAという2つの主要な成分から構成されており、それぞれ異なる効果があります。
DHAは胎児の脳や視神経の発達をサポートします。
EPAは抗炎症作用を持ち、妊娠中の女性の健康維持に役立ちます。
また、オメガ-3脂肪酸は、抗酸化作用もあり、細胞を酸化ストレスから守り、健康的な妊娠をサポートしてくれます。
お寿司だけでは十分な栄養摂取ができない
お寿司だけを食べていると、野菜を十分に摂取できず、食物繊維やビタミン類が不足しやすくなってしまいます。
そのため、お寿司を食べる場合は、お寿司だけを食べるのではなく、野菜を使った料理を付け足して食べるのが理想的です。
小岩井 無添加野菜 32種の野菜と果実(190g*30本入)【小岩井】
糖分過多や塩分過多にも注意
お寿司のシャリは炭水化物です。
そのため、つい食べ過ぎてしまうと、糖分量が過剰になってしまいます。
また、お寿司には醤油をつけ、さらにガリを食べることもあるので、塩分量も過多になってしまう可能性があります。
妊娠中の塩分摂取量は1日7g、妊娠高血圧症候群の兆候がある場合は6g未満が目安なので、量を考えずに食べると一食で越えてしまう可能性があるので気を付けましょう。
消化機能の低下に注意
妊娠が成立している場合、自身の消化機能が低下していることを忘れてはいけません。
妊娠すると、女性ホルモンの影響で胃腸の動きが鈍くなる、胃酸が逆流しやすくなる、等の症状が出やすくなります。
妊娠後期に入ると、妊婦さんの70%が逆流性食道炎を起こすとも言われており、さらに妊娠中は便秘や下痢も起こしやすくなります。
周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理_東京医学社
そのため、妊娠前は普通に食べていたものでも、妊娠してからは食べると胃腸の調子が悪くなることもありますので、妊娠すると消化機能が落ちるということも覚えておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
妊活中は、生ものを使ったお寿司は控えた方が良さそうです。
ただし、ストレスを溜め過ぎるのも良くないので、どうしてもお寿司がたべたいときは、今回紹介した情報をもとに、できるだけリスクの少ないネタを選ぶようにしましょう。