こんにちは。
現在妊活中の主婦、maronです。
今年で30歳、今年の2月から妊活を始めました。
今回のテーマは「妊活と夫の服薬」。
実際、私の夫は毎日薬を服用しているため、主治医の先生に相談し、自分でもたくさん調べました。
今回は、その情報を共有したいと思います。
私の夫の場合(バルプロ酸ナトリウム服用)
私の夫は、重めの頭痛持ちのため、予防薬として「バルプロ酸ナトリウム徐放錠」という薬を毎日服用しています。
毎日のことだったので、当たり前の光景になっており、妊活を始める際に何も気にしておらず、そのまま機会を設けてしまいました。
後日、夫が服薬している姿を見て、
「そういえば、夫が毎日飲んでいる薬について、何も考えずに妊活を始めてしまった。」と気付いたため、持っていたスマホで薬を検索したところ、以下の記載がありました。
「9.4 生殖能を有する者:妊娠する可能性のある女性に使用する場合には、本剤による催奇形性について十分に説明し、本剤の使用が適切であるか慎重に判断すること。本剤で催奇形性が認められている。」
「9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。」
医療用医薬品 : バルプロ酸ナトリウム (バルプロ酸ナトリウム徐放錠A100mg「トーワ」 他)
「女性」とは書かれているものの、胎児に大きなリスクのある薬だったということに驚き、大きく後悔し、不安で押しつぶされそうでした。
後日、主治医の先生への相談や、たくさん調べた結果から、夫のバルプロ酸ナトリウム徐放錠の服薬は胎児に影響しないことが分かりましたが、仮に今、過去の自分のような状態で苦しんでいる方がいらっしゃるのであれば、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
妊活中、男性と女性で服薬の可否は異なる
まず大前提として、妊娠を望む人は、薬の服用前には医師に相談することが勧められています。
それを踏まえた上で、ご覧ください。
ここからは妊活中の服薬について、男性・女性に分けて説明していきます。
妊活中の男性の服薬
妊活中の男性が服用した薬の影響は、ごく一部の薬を除いて殆ど心配ないとされています。
その理由としては、以下の2点が挙げられます。
- 薬の悪影響を受けた精子は受精しない
- 精液中の薬剤成分が女性の膣粘膜から吸収される量はごく僅か
それぞれについて、詳しく説明していきます。
薬の悪影響を受けた精子は受精しない
仮に薬の悪影響を受けて問題ある精子が増えたとしても、それらは卵子までたどり着けず受精しないと考えられています。
また、服薬していない健康な男性の精液にも、約20%の割合で形態的な奇形のある精子が含まれています。
受精は数千万個以上の精子のうち1個により起こるので、万が一、ある薬剤によって精子の奇形率が多少増加しても、ほとんど影響はありません。
尚、精子の状態には、睡眠や食事などの生活習慣による影響が大きく関わっているため、生活習慣を整えるだけでも精子の質は変化すると言えます。
精液中の薬剤成分が女性の膣粘膜から吸収される量はごく僅か
薬によっては、精液に溶け出してしまうものもあります。
しかし、胎児に影響を及ぼすほどの十分な量が、精液を介して女性の血液中に吸収されることは殆どありません。
但し、ごく一部、男性側でも服用を注意しなければならない薬があります。
ここからは、それらの薬について、詳しく紹介していきます。
男性側の服用で、注意が必要な薬
以下に、男性生殖器に薬剤が与える影響と、ごく一部、動物実験で精巣毒性や精子形成性能などへの影響が報告されている薬剤についてまとめました。
男性生殖器に影響を与える薬剤
薬の服用により、男性生殖器の機能が影響を受けると、男性不妊症の原因となる場合があるとされています。
以下は、その原因となる薬剤をまとめたものです。
薬剤 | 男性生殖器への影響 |
---|---|
抗悪性腫瘍薬(アルキル化薬など) | テストステロンや精子の産生障害による無精子症 |
ベンゾジアゼピン系薬剤の中毒患者 | 精巣の萎縮 |
抗不整脈(アミオダロン)、大麻 | テストステロンの合成低下や性欲減衰 |
免疫抑制薬(シクロスポリン) | 精液量の減少 |
持続性サルファ剤(サラゾスルファピリジン) | 精子数の減少、運動能力の低下 |
H2受容体拮抗薬(シメチジンの大量投与) | 性欲低下 |
※より正確に、詳細に確認したい場合は、主治医の先生にご相談ください
動物実験により、男性が注意すべきとされる薬剤
次に、動物実験で精巣毒性や精子形成性能などへの影響が報告されている薬剤について、以下にまとめました。
種類 | 一般名 | 男性への注意事項 | 避妊期間 |
---|---|---|---|
角化症治療薬 |
エトレチナート (チガソン) |
投与中及び投与中止後少なくとも6か月間 | |
C型肝炎治療剤 |
レバビリン (コぺガス、レベトール) |
精液中への移行否定できず |
投与中及び投与中止後少なくとも6か月間 |
抗サイトメガロウィルス薬 |
ガンシクロビル (デノシン) |
投与中及び投与中止後90日間 | |
抗サイトメガロウィルス薬 |
バルガンシクロビル (バリキサ) |
動物実験:通常用量で不可逆的な精子形成機能障害、催奇形性・遺伝毒性の報告あり、一時的・不可逆性の精子形成機能障害の恐れ | 投与中及び投与中止後90日間 |
抗真菌薬 |
グリセオフルビン (グリセオフルビンSG、グリセチンV) |
動物実験:高用量で初代精母細胞の染色体の異常分離を誘発 | 投与中及び投与中止後少なくとも6か月間 |
A型ボツリヌス毒素製剤 |
A型ボツリヌス毒素 (ボトックス) |
動物実験:精巣変性を確認 |
投与中及び投与中止後少なくとも3ヶ月間 |
免疫抑制剤 |
アザチオプリン (アザニン、イムラン) |
動物実験:催奇形性作用の報告あり | 投与中 |
抗リウマチ剤 |
メトトレキセート (リウマトレックス) |
動物実験:胎児死亡・先天異常の報告あり | 投与中及び投与中止後少なくとも3ヶ月間 |
抗リウマチ剤 |
レフルノミド (アラバ) |
動物実験:胎児に影響はなかったが、リスクを最小限にするため薬物除去を考慮 | 投与中 |
抗悪性腫瘍剤 |
三酸化ヒ素 (トリセノックス) |
動物実験:雄性生殖能に影響 | 投与中及び投与中止後少なくとも3ヶ月間 |
抗悪性腫瘍剤 |
タミバロテン (アムノレイク) |
動物実験:精子形成能に異常を起こすと報告あり | 投与中及び投与中止後少なくとも6か月間 |
抗悪性腫瘍剤 |
フルダラビン (フルダラ) |
動物実験:不妊などの性腺に対する影響を考慮 | 投与中 |
放射標識抗CD20モノクローナル抗体 |
イブリツモマブチウキセタン |
放射線暴露による生殖細胞障害の可能性、薬剤滞留期間を考慮 | 投与中止後少なくとも1年間 |
抗多発性骨髄腫剤 |
(未承認薬) |
精液中へ移行する場合がある | 投与中及び投与中止後少なくとも8週間 |
痛風治療剤 | コルヒチン |
動物実験:精巣毒性を引き起こす可能性 |
- |
※より正確に、詳細に確認したい場合は、主治医の先生にご相談ください
妊活中の女性の服薬
妊活中の男性は、ごく一部の特殊な薬を除いて胎児に影響が無いのに対し、妊活中の女性に関しては、使用する際に特別な注意が必要となる、あるいは使用を避けるべき医薬品があります。
理由としては、母親が薬を飲むと、薬によっては胎盤を通って胎児の血液中に入ることがあるためです。
胎児の身体は未熟で、体内に入った薬を十分に排泄することができず、また、胎児が尿として羊水の中に出した薬は、羊水の中から再び胎児の身体に戻ってくることが分かっています。
そのため、女性は男性と比較して妊活中に注意が必要な薬が多いため、しっかりと医師に相談してから薬を処方してもらう必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
妊活中の男性の服薬は、女性の服薬と比較し、特殊な一部の薬を除いて気にしなくて良いものが殆どです。
但し、現在服用している薬について、より正確に、詳しく知りたい場合は主治医の先生にご相談ください。
また、妊活中、男性に比べて注意すべき薬が多い女性についても、主治医に相談してから服薬するのが安心です。
ただ、過去の私のように、夫の服薬に関して漠然とした不安を抱えていたり、より多くの人の考えや認識を知りたい、という方にとって、少しでもお役に立てていれば幸いです。